ディバーシティ移民ビザ

 アメリカ合衆国への移民は、基本的に雇用ビザ、家族ビザ、難民ビザ、そしてDVビザで可能です。今年もDVビザの申込みの時期になり、皆さんの中でもDVビザを考えている人がいらっしゃるでしょう。DVビザは、他のビザの条件に達しない方や、ビザの条件に達していても、長期にわたるビザ待ちの方にとっては、当選できれば魅力的でしょう。

 但し、最近、特に9・11以降は、様々なプログラムが導入されており、マイナスの要因も合わせて検討する必要性が高まっています。今回は、DVビザについての基本的な規則やリスクを説明します。

応募要件

ビザ数

DVビザは、毎年55,000の枠が用意されていますが、5,000までは他のビザ(NACARA)枠の割り当てで減る可能性があります。
世界中の地域ごと、国ごとに割り当て基準があります。地域とは、1アフリカ、2アジア、3ヨーロッパ、4北米(メキシコを除く)、5オセアニア、6南米、メキシコ、中米、カリブ諸国に分けられており、全ビザの6分の1を超える地域を、多数許可地域としています。また、多数許可国とは、五年間の許可数が50,000を超える国をいいます。
多数許可国には、DVビザの割り当てはありません。少数許可国及び多数許可地域にDVビザの割り当てがあり、少数許可地域には優先的な割り当てがあります。1年間に割り当てられる枠は、各国7%(3,850)を最大とします。

無資格国

ブラジル、カナダ、中国(本土生)、コロンビア、ドミニカ共和国、エルサルバドル、ハイチ、インド、ジャマイカ、メキシコ、パキスタン、フィリッピン、ペルー、ポーランド、ロシア、韓国、英国(北アイルランドを除く)及び所属国、ヴェトナム。但し、香港、マカオ、及び台湾生まれの人は資格者となる。

資格
  • 該当国の国民
  • 高校卒業若しくは同程度の学歴又は2年間の訓練が必要な職種において過去5年間に2年間の勤務経験
申請期間
  • 2006年10月4日水曜日正午(東部夏時間)から2006年12月3日日曜日正午(東部標準時)まで
応募方法
  • オンライン応募のみ( www.dvlottery.state.gov )
  • 複数登録不可
  • 申請後確認画面を印刷可(書面申請不可)
写真
  • 本人
  • 配偶者
  • 子供(21歳未満の未婚の子。実子、法律上の養子若しくは継子。尚、同居していない子及びDVプログラムで移民を意図していない子を含む。但し、既にアメリカ市民権又は永住権所有の子を除く。)
  • デジタルイメージでの写真をオンラインで応募
その他
  • 署名不要
  • 米国内からの応募可
  • 応募資格のある夫婦は別々に応募可
  • 抽選にもれた応募者への連絡はなし
  • 最低年齢はなし(但し、学歴・職歴条件から18歳以下の応募は実質的に不可。)
  • 当選者の申請期間2007年10月1日から2008年9月30日

※応募要綱は、米国移民局サイトでダウンロードできます。
http://travel.state.gov/pdf/DV_2008_Final.pdf 

リスク

冒頭に説明したように、DVプログラムは他のビザの条件を満たさない人には、シンプルなビザでプラスの面が多々ありますが、多少なりともあるリスクも考えておく必要があります。

移民の意思表示に関するリスク

9・11同時テロ以降米国における不法入国者及び危険人物の入国を阻止するために様々な措置が取られており、その一つが各米国政府機関のデータベースのネットワークです。応募に際しては、当然個人情報を提供し、その情報がネットワーク上に保存されると知っておく必要があります。DVプログラムへの申請は、明確な移民の意思の米国国務省に対する公の表明といえます。
この意思表示によりいくつかのリスクが発生します。まず、米国の移民・国籍法によれば、米国への入国希望者は、原則として移民を希望する者と見なされ、そうでないという説明をするのは入国希望者の責任です。従って、今後非移民ビザで米国入国申請をする場合に、DV申請をもって移民意思とみなされてしまう可能性があります。非移民ビザの申請の際に、「今までに移民ビザを申請しましか?」という質問がありますが、国務省ば、答えは「はい」とすべきだという見解をだしています。もし、「いいえ」と
した場合には、深刻な問題を引き起こすかもしれません。もちろん、移民の意図が許されるビザ(HやLビザなど)の申請であれば、問題ないはずですが、、、。
さらに、DVプログラムは、米国内からの応募も認めていますが、万一、不法滞在、オーバーステイをしている申請者であれば、米国政府に対して居場所を自ら登録し、連絡するのです。
以上のリスクについては、これまでの国務省の見解によれば、DVビザ申請が即ビザの却下等にはつながらないでしょうが、他のマイナス要因と複合した場合には、審査が厳しくなるなどのリスクがあると覚えておいて下さい。
(2006年10月)

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